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- 2024/09上旬
ブダペスト覚書に関して,
ウクライナが核を放棄したから
ロシアに侵略されたのではないとの見解を追加。⏬ - 2023/07下旬 初稿公開 🛎️ ウクライナ戦争まっただ中。
一部に見られるウクライナへの批判
2022年 2 月に始まったウクライナ戦争において,
ウクライナに対し,次のような批判を目にすることがあります。
- ロシアとウクライナの2国間の戦争なのだから,
基本的に自力で調達できる兵器だけで戦うべき。 - ウクライナは何でも欲しがる。
タダでもらえるのが当たり前だと思っているのか?
もっと感謝を示すべきではないのか?
この種の意見に対し,日本の世論では
否定的な見方がやや優勢であるものの,
迷っている人も多い印象があります。
そこで,この記事では,
ウクライナ戦争における西側諸国からの支援に対する
ウクライナの態度について考えてみました。
結論を先に知りたい方へ
この記事の主張を先に確認したい方は,
次の開閉ボックスを開いてください。
この記事で主張すること
- ロシアの暴挙を止めるのは,
ウクライナ1国の仕事ではない。
役割的にも,能力的にも,
世界全体で対処すべき重大案件 である。
- ウクライナは,核を放棄する代わりに,
米英露から安全保障を約束されたという経緯がある。🛎️ 1994年の「ブダペスト覚書」のことです。
米英を含む西側諸国から
武器支援しか得られていないことを
ウクライナ側が不満に思うのは当然である。🛎️ 自らウクライナを侵略しているロシアは,
もちろん論外です。 - 世界は,ウクライナ1国だけで
ロシアと戦わせてしまっていることに
感謝を示すと同時に申し訳なく思うべきである。
そして,死に物狂いでウクライナを支援するべきである。 - 西側諸国の武器支援の遅れは,
ウクライナの汚職への警戒が
一因になっているかもしれない。
もしそうなら,自業自得の面もある。
それでは,本論に入ります。
この戦争はウクライナ勝利で終わらせる必要がある
筆者は,ウクライナを正義の国だとは思っていません。
100%正義の国などありませんが,
特にウクライナは,EU加盟を目指すにあたり,
汚職の酷さがネックになるような国です。
しかし,だからと言って
巨悪ロシア とどっちもどっちとは
絶対になりません。
この戦争でロシアが勝てば,
侵略戦争が大手を振って歩く世界に
なりかねません。
ウクライナが多少の悪を含む国であろうと,
この戦争は何が何でも,
ロシアの惨敗 で終わらせなければなりません。🛎️
可能かどうかは
断言できないですけれど。
ウクライナは米英露に
安全を保障されていたが裏切られた
聞きかじりの知識ですが,
ブダペスト覚書というものがあるそうですね。
1994年に署名された覚書で,
大雑把な内容は次の通りです。
-
ウクライナ,ベラルーシ,カザフスタンは,
核兵器不拡散条約(NPT)に参加する際に,
既に持っていた核兵器を放棄する。 -
アメリカ,イギリス,ロシアは,
前出の核兵器を放棄する3カ国の安全を保障する。
ウクライナの安全を保障すると言いながら
ウクライナに侵攻し,一部の領土を
勝手に併合したロシアはもちろん論外です。
では,アメリカとイギリスはどうなのでしょうか。
ウクライナに対して,
ブダペスト覚書の約束を守っていると言えますか?
ウクライナは NATO(北大西洋条約機構)を
戦争に引きずり込みたがっている,
第三次世界大戦を起こしたがっていると,
しばしば批判的に評されます。
ウクライナがそうしたがっているのは
間違いないと思いますが,
同国民にしてみれば当たり前でしょう。
批判なんて心外です。
ブダペスト覚書で言う安全保障は,
武器支援を意味していたとでも?
違うでしょう?
軍隊を出して一緒に戦ってくれるということですよね?
🛎️
そうでないなら,ブダペスト覚書は,
ウクライナに対する騙し討ちです。
同種の約束が信用されることは
今後二度とないでしょう。
それはつまり,
世界大戦になってでもウクライナを守るという
意味じゃないんですか?
だったら今こそ,世界大戦をしてでも守ってくれよと,
ウクライナの人たちは思っているのではないでしょうか。
ウクライナの人たちにとっては,
ウクライナ1国で巨大なロシアと戦っている現状よりは,
第三次世界大戦の方がよっぽどいいのですから。
アメリカやイギリスとしては,
この覚書でウクライナの安全保障に
参加すると言っているロシアが
自らウクライナに攻め込むなど,
完全に想定外だったのでしょう。
それは理解できますが,
想定外だから履行しませんでは,
約束の意味がありません。
ウクライナ国民が納得いかないのは当然です。
ウクライナがこの戦争に NATO を巻き込みたがるのは,
大いに理解できることだと思っています。
ウクライナが核を放棄していなければどうだったか
上記のように考えると,つい
ウクライナは核兵器を放棄したから
ロシアに攻め込まれたのだ
と思ってしまいそうですが,
それは違うようです。
(受け売りで恐縮ですが)
ウクライナが保有していた核兵器は,
ミサイルや弾頭はウクライナ領土にありましたが,
使用の決定権はロシアが握っていたそうですから。
つまり,
ウクライナが保有していた核兵器は,
ロシア以外からの侵略に対する抑止力にはなっていたけれども,
ロシアからの侵略に対する抑止力にはなっていなかった
ということなのでしょう。
ウクライナが1国だけで
戦っていること自体が理不尽
ロシアの暴挙は世界全体で止めるのが筋
仮に,ブダペスト覚書がなかったとしても,
大国ロシアの暴挙を止めるのは,
ウクライナ1国の仕事ではありません。
世界全体で対処すべき重大案件です。
役割的にもそうですし,
能力的にも,ウクライナ1国の手には余ります。
一方で,何が起こるか分からない世界大戦を回避しつつ
ロシアを止められるならそうしたいという
西側諸国の意向も理解はできます。
筆者とて,世界大戦をしてでも
ウクライナを守るべきだと声高に主張するのは,
責任を取れないので簡単にはできません。
ただ,この戦争は,
ウクライナ1国でロシアに立ち向かうのが
必ずしも正しい形ではないと言いたいのです。
本当は,世界全体でロシアを止めるのが正しい形のはずですが,
西側諸国がロシアの核を怖れるあまり,
武器支援しかできていないのが実情でしょう。
参考記事:
ロシアの核の脅しにどの程度屈するべきか
西側諸国の方こそ,感謝すると同時に
申し訳なく思うべき
ウクライナは,西側諸国の武器支援に
もっと感謝するべき?
とんでもない。
西側諸国の方こそ,世界秩序を守る戦争を
ウクライナ1国に押しつけてしまっていることを,
感謝するとともに 申し訳なく思うべき です。
ならば,武器支援くらいは,
ウクライナ1国で戦っても十分に勝てるほどに行うのが,
せめてもの罪滅ぼしでしょう。
支援国側の経済はどうするんだ,と思われた方へ
もしも,ウクライナが,
西側諸国がウクライナに武器支援をするのは
当然だと内心思っていたとしても,
筆者個人の感覚としては,
全然批判する気になりません。
もちろん,感謝を示す必要もないとまでは
思いませんが。
また,ポーランドやバルト三国のように,
かなり無理をして支援してくれている国には,
特段の感謝を示した方が良いとは思います。
ウクライナがもっと小さい国だったら
西側諸国はどうするつもりだったのか
ウクライナは比較的大きい国だから
西側からの武器支援でロシアに対抗できていますが,
もっと小さい国だったら
西側諸国はどうするつもりだったんですかね?
武器支援などではどうにもならないことが
明らかなくらい小さい国だったら,
ということです。
あっさり見捨ててたんでしょうかね。
見捨ててたんでしょうね。
そう考えると,人類はまだ,
世界全体で平和を守れるほどには
成熟してないのかな,とも思ってしまいます。
ウクライナの態度を批判する人へ
記事冒頭で,ウクライナに対する
次のような批判が見られると述べました。
- ロシアとウクライナの2国間の戦争なのだから,
基本的に自力で調達できる兵器だけで戦うべき。 - ウクライナは何でも欲しがる。
タダでもらえるのが当たり前だと思っているのか?
もっと感謝を示すべきではないのか?
この種の批判をする人に問いたいです。
本当にそう思ってますか?
ウクライナの態度が悪いと思っているのではなく,
別の理由でウクライナを批判していませんか?
これ以上支援すると自国の経済が厳しくなるから,
これ以上支援しないことを正当化するために
ウクライナを批判しているのではありませんか?
不当な艱難辛苦に晒されている国を
助けたいという気持ちは,
多くの人が持っているはずです。
一方で,自国の経済その他の事情により,
助けたいけれど助けられないと考える人がいるのは,
仕方がない面もあります。
しかし,その考えを,
助けを求める人への批判に繋げてしまうのは,
全く筋が通りません。
助けたいけれど助けられないと考えるならば,
そのように主張するのが本筋です。
武器支援の遅れについては,
ウクライナにも自業自得の面がありそう
ウクライナに対して1つ苦言を呈するとすれば,
やはり 汚職 のことですね。
西側諸国がウクライナ軍への武器支援に慎重なのは,
ウクライナ側の汚職が一因になっていると
聞いたことがあります。
ウクライナはもともと,
汚職大国と言われていたそうです。
そして,日本のある報道によると,今回の戦争においても,
ウクライナの役人が西側支援を利用して汚職をしたため,
西側諸国が支援に慎重になっているとのことでした。
詳しくは,下記の記事をご覧ください。
参考記事:
西側諸国の武器支援の遅れは,
ウクライナの自業自得の面もあるかも
それを考慮すると,ウクライナの高官や
最近の日本の報道番組が,
- もっと早く多くの武器支援をしてくれ
- もっと早く多くの武器支援をしてくれていれば
とばかり主張するのは,
少々微妙な気持ちになります。
まとめ
改めて,この記事の主張を以下に示します。
この記事で主張したこと
- ロシアの暴挙を止めるのは,
ウクライナ1国の仕事ではない。
役割的にも,能力的にも,
世界全体で対処すべき重大案件 である。
- ウクライナは,核を放棄する代わりに,
米英露から安全保障を約束されたという経緯がある。🛎️ 1994年の「ブダペスト覚書」のことです。
米英を含む西側諸国から
武器支援しか得られていないことを
ウクライナ側が不満に思うのは当然である。🛎️ 自らウクライナを侵略しているロシアは,
もちろん論外です。 - 世界は,ウクライナ1国だけで
ロシアと戦わせてしまっていることに
感謝を示すと同時に申し訳なく思うべきである。
そして,死に物狂いでウクライナを支援するべきである。 - 西側諸国の武器支援の遅れは,
ウクライナの汚職への警戒が
一因になっているかもしれない。
もしそうなら,自業自得の面もある。
読者様の思考の助けになる部分が
少しでもあれば幸いです。